第35章 疑惑 時透○一郎
『…双子なの?…聞いてない…』
動揺する私を嘲笑うかのように、
写真たての隙間から、1枚の写真がひらりと床へ落ちた。
どうやら、二枚重ねて飾っていたらしく、それを拾い上げたら中学生くらいだろうか?
無一郎さんと無一郎さんに似た誰かがいて、その間には私が楽しそうに笑っていた。
『っ…!!』
ずきり、ずきりと頭が痛む。
突然、頭の中で切り出された場面が目まぐるし程、浮かんでは消え浮かんでは消えていく。
立っていられなくなって、床へぺたりとしゃがみこんだ。
重く、痛む頭。
脳裏には、三人の子供が一人の女の子を取り合うような場面が写し出されていた。
私は知っている、この時の事を。
私は知っている、この人達の事を。
『…有一郎っ…』