第35章 疑惑 時透○一郎
「僕はこれから仕事だけど、何かあったらすぐに電話してね」
『はい、ありがとうございます』
無一郎さんが後片付けもしようとするので、せめて後片付けだけでもと代わりに食器を運び、洗い場まで持ってそのまま食器を洗う。
「なんか、新婚さんみたいだね」
『あっ…えっと』
「あぁ、ごめん、ごめん…君を困らせるつもりはなくて…」
ふと横を見れば、隣にいた無一郎さんの横顔は少し寂しそうに笑っていた。
なんだか、居たたまれなくて
ごめんなさいと1つ溢せば、気にしないでと困ったように笑った。
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「それじゃー行ってくるね」
『はい、お仕事頑張ってください』
玄関まで見送って、無一郎さんを見送る。
ばたんとドアが閉まれば、今までの緊張していたようで
ふと肩の荷が軽くなるような感じがした。
玄関に掛けられてる掛時計。
針は7時半をさしていて、暇をもて余した私は無一郎さんの役に立つため
家事をしようと玄関を背にした。