第34章 *スカビオサの花言葉時透無一郎
『あ、はーい…?!』
返事をした瞬間、蟲柱様が眼前に広がりびくりと固まる。
そんな私に蟲柱様は気にすることなく、挨拶した。
「こんにちはー…その後の怪我の具合どうですか? 」
『あ、……はい、おかげさまで…』
「たまたま近くを通ったので、ついでに怪我の具合も見ようと来ちゃいました」
にこりと笑う蟲柱様に緊張がほぐれる。
横腹を見せ、傷の塞がりを見た蟲柱様は傷の治りが早くて感心だと笑い新しい包帯を取り出した。
「こっちの傷は瘡蓋が出来てますね…痛みはありますか…?ないようでしたらこのままで大丈夫そうです」
微笑んで、傷の手当てをした蟲柱様は私の足を見ては訝しげな表情をさせた。
「…歩けます?」
『…いや、足を動かすのも出来ないです』
「……そうですか…ところで…どうして庭園の方を向いてるのですか?」
『…え?あ…
申し訳ございません…傷を見ないように霞柱様から言われてて…』
蟲柱様は何かを考えた後、静かに口を動かした。
遠くでごろごろと、雷がなる音が聞こえてくる。
また、今日もどしゃ降りの雨と
雷鳴が鳴り響くんだろうと頭の隅で思い浮かべては蟲柱様の話に耳を傾けた。