第34章 *スカビオサの花言葉時透無一郎
走馬灯が過るのを感じる。
ここまでかと、奥歯を噛み締めた。
危機的状況に陥ってなおも、鬼を睨み付けては静かに笑った。
なんで笑っているのか自分でもわからなかった。だけれども、自分が死んでも代わりに誰かがお前を殺すだろうと鬼に告げた唇は弧を描くように、静かに笑みを浮かべていた。
[怖すぎて、頭が可笑しくなったか…すぐに楽にしてや……っあ”]
鬼は最後まで言う事もなく、体が灰のようになりさらさらと消えていった。
『(何…)』
薄らぐ景色の向こうに見えたのは、白刀身…それとさらさらと靡く綺麗な長髪。
それを最後にの意識は途絶えた。