第4章 紙飛行機の届く先へ 時透無一郎
何度も何度も紙飛行機を飛ばす。
誰に届くわけでもないのに。あのとき伝えられなかった想いを伝えたくて。
僕はとても後悔してるんだ。
一人縁側で紙飛行機を折る。
夕暮れ時に記憶を取り戻した僕は毎日同じ時間で。
今日は水色の紙飛行機を折って飛ばした。高く早く飛ぶ紙飛行機は
茜色に染まった空を勢いよく飛び進みまるでこの手紙が君に届くように思えてくる。
記憶を無くした間、君のことを思い出せなかった。
それも辛くて、その間を埋めるように一日も欠かすことなく飛ばす。
「時透君、さっきから何を飛ばしてるの?」
気がつけば炭治郎がそばにいた。
どうやら、紙飛行機が気になったらしい。
紙飛行機を飛ばしてると返せばそれ以上深くは聞いてこなかった。
「いつか、この文が届けばいいのに…」
手紙の内容は大した事は書いてない。
その日あったこと。思ったこと。日記のようなものだった。
そして、最後ににあいたいと書いて天高く飛ばす。
無意味な事だとわかってはいてもやめられなかった。