第4章 紙飛行機の届く先へ 時透無一郎
それから、蝶屋敷による度に何度も紙飛行機を飛ばす無一郎を見かける。
しのぶに聞けば、玉壺との戦いで記憶を取り戻した無一郎はあれから毎日のように紙飛行機を飛ばしてるらしい。
その場所は蝶屋敷だったり、自分の屋敷だったりとまちまちなのだがいつも決まって同じ時間だというのだ。
「(どうしてそんなに紙飛行機を飛ばしてるのか…ただの趣味なのか?)」
疑問に思う炭治郎だが、本人に直接聞いていいものかどうか考えあぐねる。
記憶を取り戻した無一郎は第一印象と比べまるで別人のようだ。
今じゃ炭治郎の中で無一郎は弟のように可愛いとさえ思う。
だからなのだろう。
悲しんでる無一郎を見てると力になってやりたいと思いが強くなってきた。
数日後、怪我もなく任務を終えた炭治郎は蝶屋敷から離れた場所で水色の紙飛行機を見つけた。
ピンク色の花の前で、横たわる紙飛行機。そよそよと花と共に風に揺られていた。
手に持つと、綺麗に折られ無一郎が折ったのだろうと瞬時に悟る。
「…なんだろう」
紙飛行機の間になにやら文字らしいものが。
いけないとわかっていても気になってしまい罪悪感を感じつつも中を開いて見ると。達筆な文字が紙の上で思いを綴られていた。