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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第30章 奇跡と恋と最期の願い時透有一郎


目が覚めれば、病室で。
まだぼんやりする意識が体を動かすのを躊躇う。

「おい…大丈夫か?」

『と、時透君っ?!』

声のする方へ視線を向ければ、時透君が済みにあるパイプ椅子に座ってこちらを心配そうに見つめてた。

『え?戻ってない?…私…』

「…?何を言ってるんだ?お前はだろ?」

困惑する私に彼は心配そうにこちらを見ていた。
あれは夢だったのだろうか?
時透君の話によると、一緒に下校した日、私の異変に気づいた彼が
帰宅した後私の家に向かったみたいで。
家を出てふらふらとあの神社へ向かう私の後をこっそりとついていき、湖へ身を投げ出す私を引っ張り上げ助けてくれたみたいで。
呼び掛けても、返事も意識もなかったから病院へと連れて行ったと彼は話してくれた。


「…俺…どうにかなりそうだった…大切な人がまた消えるんじゃないかって…」

『時透君…』

「かれんが最期に言ったんだ…
自分の気持ちに素直になれって
……俺、お前が好きだっ…
お前の告白断ったけど…俺にもう一度チャンスをくれないか…?」


顔を真っ赤にして一生懸命告げる彼に、私は2つ言葉で返事をした。

私と彼女は似た者同士だった。
お互いがお互いを羨望の眼差しで見つめていた。

彼女にはもう会えないけど、大切なことを最期に教えてくれた。
彼女が繋げてくれたこの奇跡、私は無駄にしない。

私もずっと貴女になりたいと伝えられなかったけど、きっと彼女は気づいてる。だって、そうじゃないとこの奇跡は起きないのだから。
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