第30章 奇跡と恋と最期の願い時透有一郎
丁度昼休みに学校へ到着した。
廊下を歩いて階段を上れば、踊り場で不死川先生で出会す。
「ん?名無野…お前体はもう大丈夫なのかィ?」
『あ、不死川先生…ご心配お掛けして申し訳ないです、今はちょっと良くなって…あ、さん見ませんでしたか?』
「…って里芋組のやつかァ…確か出席してたようなァ…」
どくんと心臓が大きく脈打つ。
いるのか…私の姿をしたかれんさんが。
不死川先生に会釈をし、まだ教室にいると言われたので里芋組へと向かう。
すれ違う同級生達が、声をかけてくれるも会釈してその場を通りすぎる。
里芋組につけば、私がそこにいた。
友達と仲良く話をしていた。
教室の外で立ち尽くす私を、クラスメイトが声をかけ、そこで私と目が合う。
彼女は私の友人にごめんと一声かけると、こちらに向かってきて
私の手を掴みそのまま歩きだした。
『えっ…ちょっと!』
「ごめんなさい、このままついてきて」
彼女に言われるまま、階段を上る。
やはり彼女は自分の体をよくわかっていた。
私の歩調に合わせて階段を上る。向かう先はきっと屋上だ。
普段は鍵を掛けられているそこは
昼時のみ解放されている。
他の生徒達がいつもいるその場所は、何故か誰も屋上には居なかった。
「あ、良かったわ…誰もいなくて」
『か、かれんさん…だよね?』
「貴女はさんですよね?」
彼女の口振りから、かれんさんだと確信する。
でも彼女は平然としていて、落ち着いていた。入れ替わったのに、何故普通でいられるのか。
『かれんさん…あのっ』
「大丈夫…私から話すわ…ごめんなさいね…私の我が儘付き合ってくれて」
彼女は私に背を向けたまま話すもんだから、彼女の表情が読み取れない。
謝る彼女に、戸惑う私。