第30章 奇跡と恋と最期の願い時透有一郎
「今日も学校休めよ」
『…うん、ありがとう』
目が覚めてから早3日。
私の知らない彼は沢山知って見て聞いた。
学校に登校する前に必ず顔を見せる彼。
本当にかれんさんを愛してるんだなと思えばうまく笑えない。
そんな私を安心させる為か頭に手を起きぽんぽんと軽く叩いた。
そんな優しさ、温もりに涙が出そうになる。
彼がしているのはかれんさんであって私ではないのに。
行ってきますと手を振り病室を出る彼にホッと肩の荷が下りる。
私が私じゃなくなって3日。それは学校を休んだ日でもある。
…私の体はどこにあるのか
まだあの場所にいるのか。
見つけて貰えてないのか。
そして…かれんさんの魂はどこにあるのか。
不安が不安を呼び、絡まりやがて渦のように巻く。
そしてそれは私の心にぐるぐると旋回して居座るのだ。
『確認した方がいいよね…』
重い足を冷たい床につけ冷たいスリッパを履く。
そして、時透君が持ってきてた替えの服に着替え
ペタペタと足音をさせながら
看護婦さんの目を盗んでひっそりと病室から抜け出した。