第25章 何を犠牲にしても 時透兄弟
可哀想にと同情する無惨様。
鬼になればあの二人にまた会えると希望を下さった無惨様。
鬼になったら人を食わなければいけない、日の光にあたることはできないと絶望を与えた無惨様。
その二つを天秤にかけてもやはり私の答えは変わらなかった。もう一度あの二人に会いたい。
例え何を犠牲にしてでも。
怒鳴る勢いで反対する二人の意見を押し切って、鬼になった私は両親の血を浴びて化物になったのだ。
あれから数か月。
鬼になった私は必死で二人を探した。
けれどもどんなに探しても見つからなかった。
二人に会うべく、そしてあの言葉の続きを聞くために自ら鬼になったと言うのに…。