第24章 *願わくは夢でありますように 時透無一郎
『ご飯できてるよ、それと湯も沸かしてる後は…』
「…君、僕を誰だと思ってるの?身の程知らずにも程がある…僕は柱なんだよ?もう少し言動気を付けなよ…子供じゃないんだからわかるでしょ?それくらい」
『……っ…た、大変申し訳ございません…無一郎様』
「…君に名前で呼ばれたくないんだけど」
『…重ね重ね申し訳ございませんでした。今後この様な事がないよう気を付けますのでどうかお許しくださいませ、時透様っ』
知ってる彼から、慣れ親しんだその声から残酷な言葉は何度目だろうか?
彼のようで彼ではない。
まるで有一郎と無一郎が合わさったみたいだった。
けれども1つだけ確かな違いがあった。
有一郎は合理主義者で、よく棘のある言い方をしていたけれども
それには必ず優しさが隠れていた。
けれども合わさった彼は冷酷で、
時透無一郎でも時透有一郎でもないただの姿や声が似ただけの別人だ。
私の前にいるのは無一郎なのに
無一郎という名ばかりの別の人物。