第24章 *願わくは夢でありますように 時透無一郎
『…無一郎、大丈夫だよ…大丈夫』
「……」
『大丈夫…大丈夫だから』
その言葉は彼に話してるだけで、本当は自身に言い聞かせるような言葉だった。
それから彼は刀を手に取り、鬼殺隊にはいると二ヶ月後には柱という鬼殺隊の中で位の高い剣士となった。
そして、私は無一郎のお世話係を継続的にこなしていた。
玄関の戸が開く音がする。
『おかえり無一郎…ご飯できてるよ』
「…誰君…」
『…だよ』
疲れて帰ってきた無一郎を出迎える。何不自由なく生活する彼を支えないといけない私は
彼の邪魔にならないよう大切な想い出を封印した。
『…おかえり無一郎』
「誰君…」
「…だよ」
会うたびに繰り返される。
慣れてしまった会話。
最早それが私達の挨拶と化していた。
最初の頃はその一言が大きなショックとなっていた私でも
何度目かのやり取りの中で
無情にも慣れてしまって今でもなんとも思わない。