第23章 闇夜に浮かぶは真っ赤な花 時透無一郎
『無一郎君…』
「僕はを離さない…初めて感情を教えたのは君…あの快感も…だから責任とってよ」
なんて自分勝手な理由なのだろう。
彼女を困らせたいわけではないのに、繋ぎ止める何かが欲しかった。
「僕はすぐ忘れる…なのに、貴女だけは忘れなかった…これが恋じゃないなら…渇望するこの気持ちはなんなのか教えてよ…」
『……』
黙るに僕は何かしらの反応を見せてほしくて唇を寄せ至るところに、口づけを送る。
『……このまま無一郎君の側に居たら、きっと元に戻るのは難しいと思う…私は餌として貴方に近づいたのに…今では貴方自身が欲しくて堪らなかった…だから離れたのに』
「…ならっ!」
『だからよ…それでも私は吸血鬼…人の血は必要…貴方に依存してしまったら、貴方の血以外体が受け付けなくなる…そしたら貴女はいつか貧血で倒れちゃう』
は困ったまま小さく笑った。
獲物と捕食者。
けれどもお互い惹かれあってるのなら、躊躇い等不要で何物でもない。
「僕は柱だよ?…そんなんで、倒れるほど柔じゃない
それに、僕だけを求めてほしい…僕も貴女しかいらないから」
優しく抱き締めた小さな背中は震えていた。
ありがとうと呟く小さな声は僕の耳に消えることなく届いて。
更に抱き締め離さないと包み込んだ。