第23章 闇夜に浮かぶは真っ赤な花 時透無一郎
「………空気読みなよっ…」
『…ごめんなさい…安心したらお腹空いちゃって』
やはり自分の恋は前途多難なのかな。
良い雰囲気だったのに
吸血する彼女にそれもらしいとクスリと笑いが洩れた。
僕もと彼女の白い肌に、鬱血痕をつけた。僕の左首に小さな穴が二つ彼女の右首をに紅い華を1つ。
何だかお揃いのようで照れくさい。
「色んな事を忘れてるのにだけは忘れなかった…もう僕から離れていかないでね、絶対だよ」
『うん、貴方が死ぬまでずっと一緒にいるよ』
赤く濡れた唇を舌で舐めとる彼女はとても魅力的に見えた。
僕が死ぬまで一緒。
きっと彼女はそうは言ってるけど、僕が死んだらきっと彼女も死ぬのだろう。
このまま依存して、僕の血しか飲めなくなってしまえば彼女は餓死するしかないのだから。
そんな彼女と僕の酷く滑稽な恋物語。