第23章 闇夜に浮かぶは真っ赤な花 時透無一郎
『えっと…これはつまり…』
「早くして…」
『ありがとう!!無一郎君!!…頂きます!!』
チクリとした痛みに続けてきたのはあの忘れることのない快感。
「っ…はぁ…んぅ」
吸われる度にゾクゾクと快感か背中を走り、ビクビクと下半身が震える。
癖になりそうだった。
美味しそうに吸う彼女を見上げれば、バッチリと目が合い微笑んだ。
「っ…んぅ」
彼女の唇が離れ、最後にペロリと僕の首筋を舐めあげれば、その刺激に耐えきれず自身からビュクビュクと勢いよく精液が放出しまたも股間をぐっしょりと濡らした。
「…はぁ…っはぁ…血を飲まれてるだけなのにこの感覚何…?」
『あー…それはあれですね、私の唾液には媚薬に近い成分が含まれてるからそれのせいだと思います
痛いの嫌じゃない?だからせめて痛みをなくすために…なのかな?』
苦笑いを浮かべる彼女にそうと簡素に答えた。
クセになりそう。
今まで知らなかった強い快感。
彼女は僕を餌目的のため吸ってるだけだと言うのに、電流のように全身を襲う強い刺激はきっと、忘れっぽい僕でも忘れることがないのだろう。
それからも僕と彼女の秘密は密かに続いた。
家に帰れば彼女がいる。
そして、僕はそんな彼女に惹かれるように近づいて首を差し出す。
すると彼女は花が咲いたように、綺麗に笑う。
ずっと見ていたくて、一緒にいたい…そんな感情が僕の中にもあるなんて。
けれども彼女はそんな僕の淡い思いを、嘲笑うかのように忽然と姿を消した。僕の目の前から消えたのだ。