第23章 闇夜に浮かぶは真っ赤な花 時透無一郎
「…早くしてね」
『ありがとう!!…助かるよ!!』
彼女が飲みやすいように、釦を外し隊服を少しずらす。
くんくんと鼻を鳴らしながら近づく彼女の鼻が首にあたり擽ったい。
頂きますと小さく呟いた彼女は長い2つの牙で僕の首に突き刺した。
痛みと同時に快感にもにた何かが僕を襲う。
牙が突き刺さる痛みはほんの一瞬で、すぐに頭の天辺から爪先まで1つの電流が流れる変な感覚。
「っ…ぁ…なに…これっ」
ビクビクと体全体に快感が走り体が跳ねる。
とても気持ちよくてたまらない。
気がつけば、股間をぐっしょりと濡らした僕はへなへなとその場に座り込み、混乱する頭でなんとか乱れた呼吸を整えた。
「…な、な、なにしたの…」
『ごめんね、とても美味しかったからとまらなかった…』
ペロリと血の付着した上唇を舐めあげた彼女に目が離せない。
満足した彼女は僕を抱き上げ、家まで送ると笑う。
「…よく僕を持ち上げられるね」
『……人間じゃないから』
軽々と持ち上げる彼女になんとなく思ったことを口にすれば、悲しそうに彼女は笑った。
その表情に何故だが胸がチクリと痛んだ。
「…僕これから任務だから」
『あ、ならその場所まで運んでってあげるよ』
米俵を持ち上げるように、肩に担ぐ彼女にそんなことしなくていいと、言えば下着替えなくていいの?と返答に困る言葉を返される。
…まったく、誰のせいだと思ってるの。