第22章 思えば思わるる 時透無一郎
『……霞柱様…無一郎…』
[っ!っ!…お願いだからっ…目を覚ましてっ!!]
泣かないで…。そんな悲しい瞳をしないで…。
思わず伸ばした手はスクリーンに映っている彼の頬に何故か触れることが出来て、その瞬間意識が浮上するような不思議な感覚になる。
ピタリと流れた涙を指で拭い
綺麗な浅葱色の瞳をこれでもかと言うほど見開き驚愕した表情をさせる無一郎にクスリと声が漏れた。
『…男の子なんだから…そんな泣かないでよ…無一郎…』
力なく、腕を降ろすも無一郎の手がそれを阻止し痛いくらいに強く握られる。
「っ!っ!…ごめんっ…今まで僕っ…」
『良いんだよ…それより無一郎…記憶戻ったんだね…』
「俺…ちゃんと思い出したよっ…全てを」
無一郎は私が眠ってる間の事を全て教えてくれた。私は3ヶ月も昏睡状態に陥ってたこと。
竈門炭治郎と言う少年のお蔭で記憶を取り戻した事。
もっと話を聞きたかったけれど、無一郎が胡蝶様を呼んでくださって
もう一度、後遺症はないかどうか精密に検査をするとの事だった。
その日は丸々再検査に時間が潰れてしまい無一郎とあんまり話すことはなかったけれど、あの頃と変わらない笑みが見れて私は満足した。
「…僕、のこと好きだよ」
『っ?!…な、き、急にどうしたの?!』
検査が終わった私は検査の結果はすぐにはではないから
もう少しここで安静にと診断を下され今は病室のベッドに無一郎と一緒に腰かけていた。
すると突然の告白に狼狽える私を無一郎は真剣な眼差しでこちらを見据えていた。