第22章 思えば思わるる 時透無一郎
「目が覚めたら言おうと思っていた…それに、言えずに後悔するより言って後悔した方がいいから…ま、の気持ちはわかるんだけどね」
『っなっ?!』
悪戯っ子のような笑みを向けたあと、頬に感じるのは薄くて心地よい温もり。
唇を押し付けてにこりと笑う無一郎に呆気に取られていると
今度は唇に同じ温もりを感じた。
「もう二度と離さないから…覚悟、しておいてね」
そのキスはとても甘く、そしてちょっぴり苦かった。
それは私も同じだと返すように、離れた唇をもう一度、空いた空白を埋める化のように唇を重ね合わせたのだった。