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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第22章 思えば思わるる 時透無一郎



呼吸を整え、止血をし立ち上がる。
出血で目が眩む中、なんとか鬼を視界に捉えることが出来た。
青白い肌にギョロリとした目が顔にいくつもある不気味な姿をした鬼。
私の血が付着した長い爪をベロリとこれもまた青白い舌で舐めとり
気味の悪い笑みを向けた。


「…霞の呼吸、弐ノ型…八重霞」

そんな鬼を霞柱様は意図も簡単に頸をはね倒してしまう。
これが平隊士と柱の力の差。まざまざと思い知らされる。
きっと、私一人では倒せなかった。
それどころかこの気味の悪い鬼に喰われこの世には存在しないものとなっていただろう。
悪い方へとどんどん思考が進み顔が一気に青ざめていくのを感じた。

うつ伏せのまま、這いずりながら霞柱様の元へと近づいていく。

「……あぁ…君、まだ生きてたの?死んだのかと思ってたよ」

『…っ…申し訳ございません、何の役にもたてず…』

霞んだ瞳で見下ろされれば、今しがた共同任務だったことを思い出したかのようだった。
そして、あろうことか彼にとって
私はもう事切れていて
このまま私を置いて山を抜けていたのだろう。
これはあくまで予想だが、霞柱様の表情や仕草がそう物語っているとしか思えなかった。

『っ…私は大丈夫ですのでっ…霞柱様は私を置いて先に戻ってくださいませっ…柱の時間は貴重ゆえここで時間を無駄にしては、多くの人を救えません』

今の私はこれが精一杯の最大の笑顔だった。
彼が口癖のように言う言葉は柱の時間は貴重。
確かにその通りだ。
平隊士に構う何てことより、次の任務へと準備を進めた方が良いに決まってるし、間違ってはいない。
これ以上霞柱様の冷たい顔を見るのは耐えきれず、顔を俯きながら吐き捨てるように言い放つ。
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