第22章 思えば思わるる 時透無一郎
『霞柱様…本日はよろしくお願いいたします、足手まといにならぬよう「君が弱いの知ってるから、期待してない。そんなくだらないこと言ってないでさっさと足を動かしなよ」…申し訳ございません』
今日は久しぶりの霞柱様との任務。
いつもの如く、冷たい彼は私の挨拶も遮り一人スタスタと山道を登っていく。
手に力をいれ握り拳を作っては感情を抑えて、彼に置いていかれない様に足に力をいれ付いて行く。
草木が生い茂るそこは一般市民が入れるような場所ではなかった。
霞柱様はその障害を気にも留めず
ひょいひょいと枝木を躱しながら、進んでいく。
流石柱だと感心する私はというと、避けきれず肌を痛めながらそれでも遅れを取る事がないよう
進む速度はそのままに必死について行くしかなかった。
すると前を走っていた霞柱様は突然ピタリと足を止め、辺りを警戒した。
そんな彼に私も足を止め辺りを見渡しても不穏な空気があちらこちらと漂っていて、標的が定まらない。
『…っ』
腰に携えてる柄に触れ鯉口を切る。
霞柱様は辺りを警戒してるだけで、まだ刀には触れていない。
鬼ではないのか…?
そんなちょっとした油断が
鬼殺隊である私らには命取りなのだ。
真後ろから鬼が迫っているのに気づかずに、重い一撃を背中に受ける。
『っ…ぁ”っ?!』
背中に熱い斬撃を喰らった私は受け身もちゃんと取れず前のめりに倒れる。運が悪く、倒れた場所に大岩がありそこで頭を打ち付けてしまった。
足手まといにならないと誓ったのにっ…