第21章 *夢見心地のお姫様2 時透無一郎☆
朝いつものように起きて、いつものように支度をする。
会うのが少し気まずくて、メールで時透君に用事があるから先に向かうとだけ伝えて家を出た。
今誤魔化しても、クラスメイトだ。
どうやったって学校に行けば必ず顔を合わせることになる。
それでも、二人っきりになるよりかはましだと自分に言い聞かせては
久方振りに千秋と登校した。
そして、移動教室でも昼休みでも下校でもずっと千秋と一緒で
その間にも時透君からメールが数十件来ては千秋と約束してるからと都合のいい言い訳を送っては時透君の機嫌を損ねさせていた。
「てか、いいわけ?」
『ん?何が…』
「はぁー…あんたそんな事続けてたらその内自然消滅しちゃうわよ?」
事情を知る千秋はため息を付きながらも、私に付き合ってくれていた。
千秋も彼氏がいる中で、私の我が儘に付き合ってくれてるんだから本当に有り難い。
言われなくてもわかってはいた。
時透君って普段人を寄せ付けない
人だから、人と付き合うなんて滅多にない事だしましてや私と付き合うなんて…。
このままでは去っていくのは火を見るよりも明らかだった。
「はぁー…処女のあんたには刺激が強すぎるのわかるんだけどさ、
流石に覗きは駄目でしょ、いくら興味があったからって…」
『ち、違うから!!…たまたま目に入っちゃって…そしたらあれがあれなもんで…』
「だから、興味が湧いたんでしょ」
これ以上言い訳は通用しないと、渋々肯定しそんな私に千秋は何度目かもわからないため息をした。
確かに興味がないわけではない…けれども、まだ早すぎるかと…。
「あ、噂をすればなんとやら…」
そもそも、時透君はきっと、多分、それこそ…私がなんで逃げているかなんて知らないわけで…勝手に避けるのもいけないと思うんだよね…。
そうだよ!……だから明日、明後日と休みなんだからその二日で気持ちを整理し、次に会うときはいつも通りに接すればいいんだよ!!
「、借りていい?」
「どーぞ、この子は時透君のだし」
時透君にこの前はごめんね~??みたいなこと軽く謝って、何事もなかったかのようにいつもと変わらない感じにすればきっと、時透君だって機嫌を直してくれるはず!!
一人うんうんと思考を巡らせていれば、突然誰かに手を掴まれ、そのまますたすたと引き摺るように体が動く。