第21章 *夢見心地のお姫様2 時透無一郎☆
「ここが僕の家」
『お邪魔しまーす』
時透君の家の中へと招かれ続けて玄関の敷居を跨ぐ。
靴を脱いで並べて置くと、女物の靴が同じく綺麗に並べてあった。
『(ご家族の方のかな?)』
「僕の部屋は2階の右だから、先に入って待ってて。飲み物何でもいいよね?」
『あ、うん…ありがとう!』
言われた通りに木製の階段をゆっくりと上り2つある部屋の1つに向かうが、階段を上り終えたところでふと立ち止まってしまう。
『(あれ…どっちだったけ?…左??)』
少し空いた左のドア。
近づけば中から微かに漏れるくぐもった声。
見てはいけないと警告が頭の中で強く鳴り知らせるも、強い好奇心が勝ってしまいゆっくりと気配を消して近づいた。
ドアの隙間から見えるのは、ベッドの上で見覚えのある女性を抱く時透君。
『(?!っ…え、え??何して?!!え、時透君??でも今下に居たから…兄貴の方?!!)』
「有一郎っ…もっと…ぁんっ」
まじまじと凝視してしまう。駄目だと思ってはいても強い好奇心がその思考を容易く遮る。
有一郎と呼ばれた彼は、見覚えのある女性を激しく揺らし、豊満な胸はその揺れに合わせてブルンブルンと大きく揺れた。
もっともっとと強請る彼女に時透君の兄は額に汗を浮かび上がらせ、気持ち良さそうに顔を歪める。
別人だとわかってはいても、同じ顔だから魅入ってしまう。
『(…っ?!だ、駄目駄目…早く右の部屋に行かないと!!)』
最初から見るべきではなかった。
後ずさった時に、運も悪くも床が軋んでしまう。
中から聞こえていた淫らな声が止まってしまう。そして次に聞こえたのかヒソヒソとした話し声。
気づかれたと、焦った私は音を消すこと鳴くドタドタとついさっき上がった階段を今度はかけ降りていった。
「あ、…どうしたの?」
『と、時透君!!ご、ごめんね急用思い出しちゃった!!お邪魔しますた!!』
「…お邪魔しますたってなに?」
お盆にジュースを乗せ、階段を上がろうとする時透君と擦れ違う。
時透君の顔を見れば先程の兄貴の妖艶な顔を思い出し、バッと顔が熱くなるのを感じた。
同じ顔だもの…時透君も同じ色っぽい顔をしたり、あんな可愛いい顔で快楽に堪らないって顔をするのかなと卑しい妄想しては、申し訳ないとは思っていても逃げずにはいられなかった。