第20章 *パンドラの箱に残された物 時透無一郎
午後の授業もなんとか耐え
気がつけば放課後の時間。
今日は部活は休みなため、言われた通りに国語準備室へと向かう。
一階の奥に配置するそこは普段使われることない物置と化した教室で、坂田先生とまぐわった場所でもある。
嫌な予感しかしなかった。
いつもは鍵が閉まってるそこは、引き戸に手をかけるとすんなり空いた。
電気もついてないそこはまだ夕方だというのに薄暗く、とても不気味だ。
奥まで進んで無一郎君の名前を呼んでも、返事はなかった。
『…無一郎君…?』
カタリと音がして音のする方へ振り返れば、途端に視界が暗くなり
慌てふためく私に大丈夫だよと無一郎君の声が聞こえた。
何か柔らかい布で視線を奪われたようだ。
優しく目を隠す布は頭の後で結ばれていた。
外しちゃ駄目だと言う無一郎君に
伸ばした手はだらりと下におろす。
『無一郎君…?何でこんなことするの??』
「ねぇ、君にとっても僕にとっても良いことしようか?」
私の問いには答えずに、突飛な事を告げる無一郎君。
首を傾げる私に無一郎君は嬉しそうな声で続きを話した。
「僕は今から壱君を抱くんだけど、もし、君が感じなかったらこの写真も、先生の事も僕の心の内に留めておくよ」
『っ?!…絶対嫌!!』
「いいの?この写真消してあげるって言ってるんだけど
頭の悪い君だから、もう一度説明してあげるけど、
とっても良いことなんだよ?このゲームに君が勝ったらもう僕は邪魔をしないしこれからも坂田先生と楽しく過ごせるんだよ?」
楽しそうに笑う無一郎君。
そんな悪魔の囁きに中々頷くことが出来ない私。