第20章 *パンドラの箱に残された物 時透無一郎
『………はぁ…』
気が重い。
考えても仕方ないと、席をたち数分遅れて私も教室をでた。
部活の間、無一郎君と少しの間だが離れられて心が少し軽くなった気がした。
考えないように体を目一杯動かし
部活に励み気がつけば、辺りが夕暮れにそまりチャイムが鳴れば部活を終えた。
『ごめん、お待たせっ!』
急いで制服に着替え、校門前へ足早に向かえば無一郎君が夕暮れ空をボーッとしながら見上げていた。
私の声に気がつき、こちらを振り向けば無言で手を差し出した。
握れと言うことだろうか。差し出された手をそっと左手で握り返せば無一郎君は急に歩き出す。
強引に引っ張られながらもなんとかついていく私は無一郎君の綺麗な長い髪が動きにあわせて揺れるのを見ていた。
しばらくついて歩くと小さな公園が見えてきてそこに入っていく。
幼い頃に遊んだブランコやすべり台等所々色褪せて寂しく佇む遊具には一瞥もやらないで奥にある小汚ないベンチに座った。
『無一郎君…?』
「これ、明日一日ずっとつけてね」
戸惑う私に無一郎君は小さな物体を取り出し、スイッチのようなボタンに触れた後、私の空いた片方の手にそれを握らせた。
ヴーヴーと静かながらも聞こえる電子音。振動を繰り返す物体は掌サイズのピンク色で、18禁コーナーにも置いてある代物。大人のおもちゃだ。所謂ローター。