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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第20章 *パンドラの箱に残された物 時透無一郎



空になった弁当箱を片付けながら
澄みきった青い空を見上げる。
太陽は眩しいくらいに頭上を照らしていて、満腹も相まって眠気が襲ってくる。
うつらうつらと頭が揺れ動く私に無一郎君は顔を近づけ、

―チュッ―

と唇が重なった。


『っ?!』

一気に脳が覚醒する。
触れた唇が熱を持つと同時に頬から流れるのは一筋の涙。
突然のキスに体が嫌だと反応する。
無一郎君を押し退けて距離をとり唇に手の甲を押し当てる。
拒絶反応を見せる私に無一郎君の表情は無を表していてそれが何より私を不安にさせた。


『っ…ご、ごめんなさいっ…そういうつもりじゃ……』

「なら、どういうつもりで僕から距離をとったわけ?その表情は?
嫌じゃないなら自分から出来るよね?」


淡々と言葉を放つ無一郎君に
彼がすこぶる機嫌が悪いと悟る。
これ以上彼の機嫌を悪くして
先生との関係をバラされてしまったら一貫の終わりだ。
渋る私に無一郎君は早くしてと急かす。

おずおずと距離を縮め、無一郎君に近づく私の心臓は恐怖と緊張で激しく主張した。

『……っ』

意を決して彼の唇に触れるだけのキスを1つ。
それでも彼の表情が変わらないままで一度じゃ駄目と察した私はもう一番唇を押し付けた。

「……ふざけてるの?それで僕の機嫌が良くなるとでも?」

唇を重ねた一瞬の隙をついて頭を片手で固定され無一郎君の舌が私の唇を割き乱暴に咥内へと押し進んでいく。

『っ…ふぁっ』

「っ…もっと、舌、動かして」

嫌悪感が全身を襲う。
目をギュット瞑って耐え、言われた通りに舌を動かし、彼のと絡めあう。
飲み込みきれない唾液が、口端から垂れそれが私を羞恥に追い込んだ。
執拗に絡む舌に、酸素がうまく取り込めない。
呼吸が徐々に乱れる私とは正反対に無一郎君は息は乱れてなく、激しく求められる。

「僕の目を見て」

固く瞑った瞼を開けば浅葱色の瞳が私を射抜くように向けられてて
冷や汗が頬を伝う。
その瞳の奥はまるで野獣のように
熱が灯り始め身の危険を感じた。
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