第19章 *寵愛 時透無一郎☆
『はぁっ…はぁっ…』
「は自分ではまだまだだなんて、思ってるだろうけど…僕はそんなこと思ったことないよ」
『…っ…え?』
「君は僕が認めた継子だ…僕が選んだんだからもっと自信を持ちなよ」
無一郎はそう言って優しく笑うとの顎をくいっと持ち上げ薄ピンク色の柔らかいそこに唇を押し当てた。
『っ…』
ちゅっとリップ音を出す口吸いにポッと一気に赤面する。
無一郎はの反応に満足そうに笑うとまた後でと先に屋敷へと戻っていった。
『っ…師範ったら…』
熱の残る唇に触れ、刀里での出来事を思い出す。
記憶を無くした無一郎に身体を求められ流されたことはあった。
無一郎を好いていたから。
それから記憶を取り戻した無一郎に想いを告げられ、何度も何度もまぐわった。まるで空いた隙間を…時間を埋めるように。
そして気づいたことが1つある。
『…無一郎様は…っ?!いけない!私も行かないと!!』
稽古の時間に遅刻するなどあってはならないこと。
駆け足で屋敷へと戻り他の隊士同様稽古に励んだのだった。
『…お先に失礼します』
稽古、中休み。
は他の隊士より先に稽古を抜け出した。
継子であるはこれから腹ペコな隊士のために飯炊きをしなければいけないからだ。
が道場を抜け出すのをその場にいる全員が見送る。
「いいよな……可愛いし、強いし」
「俺、竹刀を交えてる時にの胸が揺れて…あれはラッキーだったわ」
「…ふーん、君、をそんな目で見てたの?」
「ああ…あの柔らかい胸に触れっ?…か、霞柱さまっ?!た、大変申し訳ございませんっ」
数名の隊士が集まっては自然との話になった。
そんな男の話題に無一郎は気配なく近づいて、一人の隊士に殺意にもにた視線を送れば隊士は顔面蒼白になり何度も頭を床に下げたのだった。
そんな隊士に無一郎の気持ちは晴れることなく、隊士に素振りを1000回追加し黒くもやもやした気持ちを静める為に道場を抜け出した。