第18章 *偽愛純愛歪愛時透無一郎、竈門炭治郎
あの一件以来、自然と距離を置いていた。
けれども他の隊士同様、傷の手当てを目的として蝶屋敷に訪れていると今の炭治郎を見て考えを改めることにした。
炭治郎はいつも蝶屋敷にきては、申し訳ないと頭を下げるのだ。
そんな炭治郎の邪心のない様を見て、こんな事考えてた自分が酷く恥ずかしく思えたのだった。
『……?どうしたの?』
「…いや、なんでもないです!今日もすみませんでした……、俺が不甲斐ないばかりにさんの仕事を増やしてしまって…」
『炭治郎君が頑張っているのわかってますから、その分強くなってくれればそれでいいのですよ』
傷の手当てをしながら微笑むに炭治郎は嬉しそうな顔をして、不意にポケットをがさごそと漁った。
不思議そうに見つめるの手を握り、掌にころんと乗ったのは小さな飴玉。
「さん、疲れてるみたいだから…これ、お礼です!初めて作ったから口にあうと良いのだけれど…」
『炭治郎君の手作り?ありがとうございます、頂きますね』
口の中に広がるのは上品な甘さと少しの苦味。
二つの味覚がバランスよく保たれて、炭治郎の優しさには嬉しく思った。
暫く二人は他愛ない話をし、炭治郎は帰っていった。その後入れ違い様に入ってきたのは無一郎だ。