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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第18章 *偽愛純愛歪愛時透無一郎、竈門炭治郎


『……っ…これはあくまで治癒目的ですよ次あるなら、気を付けてくださいね』

優しく嗜めるに炭治郎は頭を下げた。
そして最後に謝罪を伝え、いそいそと診察室を出ていった。

『はぁー…』

一人残されたはため息を1つ溢す。
炭治郎みたいな勘違いする人を何度も見てきた。
この行為に特別な意味はない。
本当に純粋に治癒したいだけ。
それ以上望まれても、ただただ、迷惑なだけだ。


―――ただ、一人を除いて――――


『……あれ、なんで……』

あの人が頭に浮かぶんだろうか

ふいに頭に浮かんだ人物に理由はわからなかった。

「さんっ!」

『あら、アオイちゃん…ごめんなさいボーとしてたわ』

引き戸を開け顔を出す神崎アオイにふと我にかえる。
どうしたのと聞けば、後は私がやるので休んでくださいと言い放った。

『でも…悪いわ…』

「さんは働きすぎです、少しは休まないと体が持ちませんよ」


渋るの背中を小さな手が押しやって診察室から出された。

『ありがとうね、アオイちゃん』

アオイの優しさに感謝をポツリと呟くと、固まった凝りを解すように
頭上まで腕を上げ伸びをする。

時計を見ればまだ戌の三つ時を指していた柱の皆はそれぞれ任務に出ていると言うのに…自分はここで治療をしている。
柱なのだからたくさん鬼を狩らなければいけないのに…。

『………』

どうしようもない焦りが不安と共に押し寄せてくる。潰れてしまいそうだった。
冷たい廊下を足音たてずに歩く。
気がつけば縁側に出ていた。
外履きに履き替え、庭に出る。
月明かりがひっそりと照らす小さな池。時折吹く優しい風に水面が揺れ、そこに映るはひどく悲しい顔をしていた。
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