第18章 *偽愛純愛歪愛時透無一郎、竈門炭治郎
『…ここですね…』
どんよりした重い空気。
血の匂いがここまで漂ってくるようだった。
二人は躊躇うことなく、中に足を踏み入れる。
日輪刀を片手に、辺りを警戒しながら奥へと進む。
『「っ?!」』
すると突然、どこからともなく聞こえる笛の音。
不協和音を奏でるその音色はとても心地いい音ではなく、不気味な音色に不安を煽る。
『無一郎様…聞こえました?今の音…無一郎様?』
「…呼んでる…誰かが…」
聞こえるのは確かに同じ音色のはずなのに、無一郎とではまったく別の音が聞こえているようだった。
ふらふらと音につられて歩く無一郎を見ていたは
ハッと我にかえり辺りを見回す。
微かに鬼の気配はするも姿は見当たらない。
『無一郎様、これは鬼の誘いですっ!目を覚ましてください!』
「…鬼?優しい音色が聞こえるだけ…」
の制止に耳を傾けもせず、一人歩みを進める無一郎。
駄目だとが手を引っ張り足を止めようとするも手を振り払いはせずともその力は強くて逆に引き摺られるようにどんどんと奥へと進んだ。