第18章 *偽愛純愛歪愛時透無一郎、竈門炭治郎
「先に向かった隊士がほとんど壊滅状態との事…もしかしたら十二鬼月かもしれない…無一郎、行ってくれるね」
「『御意』」
御館様の呼ばれそこに向かえば久方ぶりの合同任務とのこと。
子供達が夜中に家を抜け出しては人里離れた山の中に向かう。
そして、そこに向かった子供達が戻ることはなくそのまま行方知らずとなっていた。
階級下の隊士が数名向かうも消息不明で、その近くにいた隊士が一人向かったまま状況が変わらないままでいた。
『無一郎様とは久しぶりの任務ですね…足を引っ張らないように頑張ります』
「…なんで様付け?君も柱なんだから普通に呼べばいいじゃん」
駆け足で現場まで向かう二人。
二人の間に流れる沈黙を先に破ったのはだ。
も柱の一人。
けれど彼女は他の柱に比べて誰よりも弱くて鬼を退治した数もそんなに多くはない。
なのに柱となったのは、彼女が持つ特殊能力のおかげだった。
『いえ…私はあくまでもサポート役です…無一郎様みたいに強くはないので任務も常に誰かと一緒でなければすぐにあの世です』
寂しげに笑う彼女に無一郎は
そんなことないとぽそりと呟く。
けれどもその言葉は彼女に届くことがないまま風に流されて消えていった。