第16章 柱と隠の恋愛事情 1時透無一郎
鼻息高らかに声をあげたのは鎹鴉。
どうやら時透様の鴉らしい。
『(何、あの鴉…性格悪くない?鴉の分際で焼き鳥にしてやろうかしら』
「……?!貴女って怖い女ね!!!無一郎!!こんな悪女ほっといて任務に行くわよ!!」
心の声がただ漏れだったらしく、
鴉に聞かれてしまった。
鴉はブルブルと体を数回震わせたあと、羽を使いしっしっと追い払う仕草をして時透様と共に家を出た。
残されたのは私と跡始末。
畳は既にシミができてて泣きたくなった。
これから手間のかかる染み抜きが私を待っている。
時計を確認すれば、まだ時間はあると知り急いで畳の染み抜きを始めた。
『ふー…やっと終わった!!』
夕暮れ時、跡始末が終わり急いで家を出る。思ったより綺麗に落とせて気分はかなりスッキリしている。
今日は後藤さんから仕事の内容が伝えられる日だ。
待ち合わせ場所は人里から離れた山林の奥深く。ここで何やら特別な任務があるそうだ。
到着したのは日が変わってから数時間後のこと。
待ち合わせ場所に着くもまだ、そこには誰もおらず後藤さんがくるまでの暇な時間を無駄に過ごした。
「一週間ぶりだな、もう心は入れ換えただろうな??」
『はい、その節は大変ご迷惑おかけして申し訳ございません……もう二度とあのような真似はしませんのでこれからもご指導よろしくお願いいたします!』
そうかと後藤さんが笑うと頭に手をポンポンと置かれ私の気持ちが和んだ。
後藤さんはよく頭を撫でてくれるのだが、それがとても心地よい。
「早速だが…
今回の任務は柱を刀の里に連れていくことだ。
今回ももちろん、ランダムに役決めされはここから交替で詳しい説明は鴉が教えてくれるから…後は柱の機嫌を損なわないように
」