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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第16章 柱と隠の恋愛事情 1時透無一郎


『時透様…火傷は大丈夫でしょうか?!大変申し訳ございませんでしたっ!なんとお詫びもうしたらよいか…』


「はぁ…全身ずぶ濡れなんだけど」


盛大にため息をついてこちらを見る時透様。
渡した手拭いを使い髪の毛をワシャワシャと水分を拭き取る時透様に湯浴みを進めるもこれから任務だからいいと断られる。

『申し訳ございません…私に出来ることがあるなら何なりとはお申し付けください』

「…!…そう、何でもと言うのなら…」

手招きされ近づけば、時透様が更に距離をつめる。
んと喉を仰け反らせて、指で示す場所は鎖骨。

「舐めて綺麗にしなよ」

『……はぁ?』

思わず出てしまう素っ頓狂な声。
でも時透様は至って真面目な顔つきで早くしろと示す指を二回動かした。


『…わかりました』

顔を覆う布を取り外し時透様に近寄る。

これで許されるならやってやろうじゃないか。
漏らすほど怖いと言った後藤さん。
そんな想像もつかない恐ろしい地獄絵図を体験するようならこんな屈辱的行為も気にしないと
時透様の鎖骨に舌を伸ばした。

「へー…そんな顔してるんだ」

隠なのだから正体を明かすのは隊律違反だ。
けれども柱に命令されれば仕方のないことだと自分に言い聞かせ
時透様の肌に付着する緑色の液体を舐めとる。
舌を動かし、綺麗になるよう舐めとるもやはりおかしいと思ってしまう自分がそこにはいて。

いや、だってさ舐め取ったって本当に綺麗になる訳じゃないし
湯浴みしたほうが手っ取り早くない?

そもそもこいつは何がしたいのか
きっと、柱合会議での一件にまだ腹をたたせていて、腹いせにこんなこと命じて楽しんでるだけなんじゃないか
そうだったとしたら本当に性格悪いなぁ!

何度も往復する舌に、疲れが見えてくる。
いつまで続ければいいのか視線で訴えれば、時透様はこちらを見据えるだけで口は動かない。

目に見える液体は拭いとり
もういいだろうと頃合いを見計らって顔を離すも時透様は終わりじゃないからとやめさせてはくれなかった。

『時透様っいい「任務よ!任務!!……貴女誰よ?!この子をタブらかそうなんてそうはいかないから!!
そこをおどきなさい!!これからこの子は任務にでるんだから邪魔よ!!」

いい加減にしろと口を開くと同時に誰かの声と重なった。
声のした方へ向くとまつ毛の長い一羽の鴉が頭上を飛んでいた。
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