第16章 柱と隠の恋愛事情 1時透無一郎
「隠の後藤って人から聞いた」
後藤さんーー!!!何、私の個人情報流出してるの?! 駄目でしょ、私の家を教えちゃ!!
そもそもこいつも頭おかしいでしょ!!柱だからって何でも許されると思うなよ!!どうしてよりにもよってこんなやつに私の住所教えちゃうかな?!
『…もう一度お尋ねしますが…ここには何のご用で?』
「それより、いつまで柱である僕をこんなところに立たせるつもり?」
話のキャッチボールが出来ないのですが。私はどうすればいいのでしょうか?
ここで、問題起こしては駄目だと
私は年上だと自分に言い聞かせ
怒りを抑える。
『すみません、配慮に欠けておりました…大したもてなしは出来ませんが、どうぞ上がってください』
仕方なく家の中へと招いた。
特に話すことなんて何もないし
顔なんて見たくないのだから
適当におもてなししておかえり願おうと考える。
もしかして、あの柱合会議での出来事が気に入らなくて態々私の家まで訪ねてきたのだろうか?
それなら、一週間の自宅謹慎をくらったのだからその時に文句なり何なり言えばいいのではないだろうか?
次々と疑問が浮かび上がる中、ふとこいつの顔をみればぼーっと天井を見ながら私について歩く。
その表情は変わることない。
『(そういえば…この人の名前なんだっけ?時…)』
「ねぇ?」
『はい!何でしょう!時霞様!!』
「……それって、僕の事?」
やってしまったぁぁあ!!
何、時霞って!!
何かいろんなのがフュージョンさせてしまった…。
恐る恐る柱の顔を見ると、
表情はやはり変わらず、ただ首をちょこんと傾げていた。
『申し訳ございません。失礼を承知で申し上げますが…柱様の名前を失念してしまいました…もう一度お聞かせ願えますか?』
「君って凄く変わってるね、隠のくせに柱の存在を知らないなんて…
時透無一郎…覚えておいて」
屈辱だ。
柱って言うのが鬼殺隊のトップで
お偉いさんということはわかった。
そんな偉い人がなんで私に構うのか。
隠の私となんて
余程がない限り会うことはないはずだ。
なら名前を忘れてしまっても
バレずにすんだのに。
時透様を茶の間に案内して
脳内ではボロクソ文句をたれながら、お茶の準備をする。