第16章 柱と隠の恋愛事情 1時透無一郎
「はぁー…まじ柱怖いわぁ」
『先輩、柱って酷いことするんですね』
「 まぁ、鬼だから容赦ないのは仕方ないと思うがな」
盛大にため息をつく後藤先輩。
確かに鬼だからとそう言われれば、そうなのだが一括りにしていいものだろうか?
竈門君の妹は2年もの間人を食べてないと言っていた。
あの子はまた違うんじゃないのかと私は思う。
「いいか?今一度口酸っぱく言うけど、思ったとしてもだ柱に向かって言うんじゃねーぞ?絶対だからな!黙っとけよ?!」
『はいはい、わかってますって』
何度も同じこと言われなくても私もそんなに馬鹿じゃないのだからと先輩なのに軽くあしらう。
このまま家に帰りたいけど任務はまだ終わっていない。竈門君の処分が決まりそちらにまた連れていかないといけないのだから。
『あの少年には生きてて欲しいなぁ』
空を見上げながら口を開けば突然衣類を掴まれ、力一杯引き摺られる。
『?!先輩?!』
「胡蝶様に呼ばれた!早くしろ!
」
前失礼しますと柱の前を通れば、柱は横一列に片膝をつきお館様に敬意を払っていた。
竈門君を背追い上げ胡蝶様の屋敷へと連れていくも途中で背中から降り竈門君は元来た道を足早に戻っていく。それを慌てて追いかける私と先輩二人。
「その傷だらけの人に頭突きをさせてもらいたいです。絶対に襧豆子を刺した分だけ絶対に!!」
三人で押さえつけるも、竈門君の力は強すぎて少しでも力を緩めたら柱に向かって突き進むだろう。
『竈門君っ!気持ちはわかるけど、お館様の前だからここは抑えて…』
竈門君はそれでもといって、拘束から逃れるため身動ぎ聞く耳を持たなかった。
このままではヤバイと瞬時に悟り再度竈門君へと忠言しようと口を開けば突然
竈門君はぐふっと声を洩らした。
「お館様のお話を遮ったら駄目だよ」
そう言って竈門君に三回小石をぶつける少年。
「もっ、申し訳ございません、お館様」
「時透様」
そんな彼に先輩方は土下座までして平謝りをした。
お館様の話を遮ったらもちろん駄目なのはわかるけど、小石を人にぶつけるってどうよ?
そして、その後に先輩方に言った一言にプツリと私の中で何かがキレる音がしたような気がした。