第15章 夢見心地のお姫様 時透無一郎
その後もいろんな人と打ち込む時透君。
その気迫は誰にも負けずに、輝いていた。
部活が終わると同時に傍観していた女子達はあっという間に時透君を囲む。
そんな女子達に焦りながらも、なんとか彼女の元へ歩いていけば、二人仲良く話ながら教室をでる。
手を繋ぐ二人は、やはり様になっていて。
お似合いだと嫌でも思ってしまう。
二人の後ろ姿が見えなくなったところで、ハッと我に反り自分も帰宅するため足を進めた。
『…はぁ…略奪なんてやっぱり無理だよな…そもそも彼女のように可愛いわけでもないし、勝てる要素ない』
とぼとぼ帰る帰り道。
頭の中はやはり先程のお似合いの二人の事でいっぱいだった。
諦めたくはない。けれど、二人の間を裂いてまで手に入れたいのか。
良心が騒がしく主張する。
『時透君をこんなに愛してるのに…何でもっと早めに想いを告げなかったのかなぁ…』
「それって今でも間に合うんじゃない?」
突然聞こえたのは時透君の声。
ばっと振り替えると、時透君が私の後ろで立ち止まっていた。
『と、時透君?!』
「それで?僕が好きだから付き合いたいってことでいいんだよね?」
『え、あ、うん?』
何を仰っているのでしょうか?
貴方彼女いますよね?
二股するおつもりですか?
アホ面下げて時透君を見れば、盛大なため息を見せつけ距離が一気に詰められた。
「思ったんだけどさ、って勘違いしてるよね」
あら、名前で呼ばれたと
こんな状況でもきゅんとしてしまうのは、恋は盲目だからと理由をつける。
顔が近い時透君にキャパシティがオーバーしそうだった。
顔が瞬時に熱くなり、赤くなる。
「僕の返事も待たず、逃げるし
僕と兄さんを勘違いしてるし…君は一体何を考えてるの??」
『は?…え、時透君に兄貴が??』
待って、時透君って兄弟いるんだっけ??え、て事はつまり私は今まで時透君を兄貴と勘違いして今の今まで過ごしていたと言うこと?!
情報処理が追い付けない私に時透君は呆れた眼差しをこちらに向けて、顔を近づけた。
「いい?一度しか言わないからよく聞いてね
僕はが好きだから、付き合ってくれるよね?」
私の気持ちを知った上での強引な告白。
もちろん、私の返事はいえすだ。