第13章 霞柱様の継子は私だっ!1 時透無一郎
『風の呼吸…壱ノ型…塵旋風・削ぎっ!』
「おおっと…」
霞柱様に当たらないように鬼へと攻撃を放つ。
鬼は私の攻撃をひょいっとなんなく躱すと、高い木の上へと移動した。
「くくくっ…なんだお前の刀…このチビと違って真っ黒じゃないか」
『っ…うるさい!!』
「まぁ、稀血ってだけでお前は価値がある、俺が美味しく喰ってやるよ」
鬼は私の刀を一瞥すると、木上から私へと向けて複数の棒を飛ばしてきた。
『っ…壱ノ型 塵旋風・削ぎ
』
ギリギリのところでなんとか避ける。既に私の体力は半分ほど削られていた。
「お前、もしかして…同じ技しか使えないのか??」
『っ…』
バレてしまった。
私はアイツの言う通り
風の呼吸、壱ノ型しか使えないのだ。
それに日輪刀も黒のまま。
ここまで階級が上がったのも奇跡なのだろう。
「くくくっ…ならお前は簡単に殺せるな…後はガキだけか… ま、俺はお前らの前に来てた稀血を喰ったからそんじょそこらの鬼とは」
「お前、さっきから何言ってるの?五月蝿いからもう黙った方がいいよ…霞の呼吸…漆ノ型…朧」
霞柱様は動きに緩急をつけ、鬼を撹乱させながら鬼の頸を切り落とした。
すごいとしか言いようがない。
開いた口が塞がらないとはまさにこの事を言うんだろか。
そして、同時に自分の力不足を実感する。
何も出来なかった。ただ、足を引っ張るだけだった。
『…霞柱様…すみません…私何も出来なくて』
「…ねぇ、その日輪刀で霞の呼吸使ってみせてよ」
霞柱様は私の刀を指差し、私に教えるようにゆっくりと自身の刀を振り下ろす。
さっき使ってた壱ノ型だ。
渾身の突きを繰り出す技。
見よう見真似で同じ動きをすると、一瞬霞が見えた気がした。
「うん、やっぱり…君、今日から僕の継子ね」
『ええええっ?!』
こうしてその日から私は霞柱様の継子になり、霞柱様の開いた時間を日々特訓へと時間を費やす。
そして、日輪刀はいつの間にか黒から白へと。
霞柱様程綺麗な白ではないけれど
色が変わっていた。