第2章 *無意識からはじまる愛情 時透無一郎
確かに昨日は満月見たような気がすると…どこか上の空な無一郎はぽつりと呟いた。
『ええ、それで霞柱様が「…ねぇ、その霞柱様って呼び方やめてくれない?」…失礼致しました!それでは時透様「それもなし」ええ…』
彼女の言葉を二度も遮り、困惑するにクスリと笑うと優しい眼差しをむけた。
「無一郎って呼んで」
『ええっ?!…そんな『僕が良いって言ってるんだから早く』…無一郎様っ』
名前を呼んでもらい満足そうに頬笑む無一郎。
何故彼女に名前で呼んでもらいたかったのか
彼自身も理由はわからなかった。
「それじゃあね」
『はい、またいつでもいらしてくださいね』
夕暮れ時鎹鴉から任務を告げられる。
そんなに話してたのかと居心地が良くて時間を忘れていた。
彼女に背をむけ、鬼を狩るべく助けを求める人達のもとへ赴く。
そして、次の日もまたその次も
無一郎は鬼狩を終えた後、の元へと訪れた。
そんな無一郎を笑顔で出向かえる。
二人の関係は少しずつ歩み寄っているように見えた。
またいつものようにの家に向かう。
そして、勝手に上がり込んでは自分の家のように寛いだ。
今日もいつもと変わらない日常なんだと思えばどうやら違うみたいで。
知らない男がと仲睦まじく喋っていた。
『っ?!』
「やめろっ!!に手を出すな!!」
「…誰君?…いや、そんなことは今はどうでもいい…
はなしてくれない?これは俺との問題だから」