第2章 ***
こうして彼との二度目のプレイは終わった。
その後も彼は週に一度私の元を訪れるようになり、回を重ねる毎にその従順ぶりを発揮していった。
そんなある日…
「…やめて下さい……」
司書としての仕事を終え、図書館の戸締まりをしていた時だった。
ふらりと現れた教頭がいつものように絡んできたのだ。
「そんなに嫌がらなくてもいいだろう…?私の愛人になれば良いマンションに住まわせてあげるし、欲しい物だって買ってあげると言ってるんだよ?」
「ゃっ…」
腰を引き寄せられ、顔に触れるその生温かい息に悪寒が走る。
コイツ…今すぐぶん殴ってやろうか……
「私は知ってるんだ…。その眼鏡の下に隠されている美しい顔も…地味なスーツに覆われている厭らしい体の事もね」
「っ…」
いよいよその手が私の胸を鷲掴みにしてきた。
…と、その時。
「何をしているんですか!」
「…!」
突然響いた怒号。
その声は私のよく知っているもので…
(…鏑木、先生……)
そこで仁王立ちしていたのは、まさかの"彼"だった。
ぐいっと強く腕を引かれたかと思えば、教頭から守るようにその大きな体で私を背後へ隠してくれる。
教頭は何も言わずチッと小さく舌打ちすると、足早に私たちの前から去っていった。
「…大丈夫ですか?」
「はい…ありがとうございました」
「彼はあなたにいつもあんな事を…?」
心配そうな表情でこちらの顔を覗き込んでくる彼。
言い寄られる事は以前からあったが、最近になってその行為がエスカレートしてきた事を正直に話す。
彼はそのまま私の手を引くと、まだ閉めていなかった図書館の中へ移動した。
そして…
「っ…」
ぎゅっと力強く抱き締めてくる。
頭上からは「ご主人様…」と言うか細い声が聞こえてきた。
(…え……?)
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