第4章 ホップ編
「だって、俺たちはカジッチュなんて必要ないんだぞ。約束したからな」
俺の言葉にポカンっとするユイ。やはり覚えていないのかと、心が沈む。だが、俺の慢心のせいでユイは今まで悩み苦しんできたのだ…きちんと伝えなければならない。
「約束…? 約束ってあの……?」
ずっと一緒にいよう…そう交わした言葉が頭を過ぎった。ユイも同じ約束を頭に浮かべてくれているだろうか…。俺は覚えているか?と問いかけた。
「覚えているよ。ずっとその約束にしがみついて、必死だったんだから」
つまり、ユイはその約束を言葉通りに受け取っていたらしい。俺はすれ違いに苦笑する。当たり前だが、言葉はきちんと意味を成していなければ伝わらないようだ。
「逆に、俺は不安なんて一切無かったんだぞ」
俺のつぶやく声が彼女に届いていたかどうかは分からない。部屋の扉が開き、興奮した様子でマサルが入ってきたからだ。
「ど……どうしようホップ!? 」
彼の言葉にならない言葉を、俺はどうしたものかと首を傾げた。ダンデさん、まさか、混乱して。この3つの単語しか聞き取れないからだ。
「………あんた、ここで告白したの」
そして、彼が告げようとした言葉は、ユイがつけたテレビから流れた。
「『………俺が大人になったら…結婚してください…!!!!!!』」
それは、俺たちが聞くことのなかった新チャンピオンのインタビュー時に起こった事件だった。