• テキストサイズ

バトルをする君が好き

第4章 ホップ編


「…ルリナさん…」

今度は、ユイはすぐに目を覚ました。俺が持つ袋を見て、ユイは顔を逸らす。

「…やっぱりあの時もホップだったんだ」

と呟いた。ルリナさんは肩を竦めながら、

「私はこの子の好きな飲み物や食べ物まで知らないもの」

と言った。俺は苦笑しながら、袋の中にある物を取り出して机の上に置いた。

「じゃあ、私は戻るわね。マスコミの相手しなきゃ…ったく、ダンデのやつ…なにが俺を攻略してみろ…よ!!」

何やら苛立ちそうに立ち去るルリナさんに、お礼を言う。バタンっと扉が閉まると、沈黙が流れた。

「………私の勘違いだったみたい」

1人にした方がいいだろうかと悩んでいた頃、ユイは呟いた。そして、俺を見る。

「よかった…ホップに迷惑をかけなくて」

この歳でできちゃってたらどうしようかと思ったと、無理に笑うユイ。俺は思わずその手を取った。

「キバナさんから聞かれたこと覚えているか?」
「………え?」

キバナさんから聞かれたこと…つまり、トーナメントが始まる前、ユイと距離が離れるようになったあの件のことだった。俺は今度こそ逃がさないぞという意志を込めて手を強く握った。ユイは唇をきゅっとしてゆっくりと頷いた。

「私たちがカジッチュを送り合う仲じゃないってことでしょ? なんで今更…」
「違うんだぞ」

確かに、俺はそう言った。だが、あれは言葉足らずだった。俺は慢心していたのだ。ユイも同じ気持ちなのだろう、と。だが、彼女のあのあとの反応を見て、それは間違いだったと気づいた。俺はきょとんっとするユイにゆっくり口を開いた。
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp