第4章 ホップ編
「……こんなことされても……まだそんな顔見せてくれるんだね」
ユイは唇を歪ませる。だが、それはもう最初の時のように上手くはなかった。
「っ!?!?」
突然、ぐっと口に布をねじ込まれ、俺は鼻でしか息が出来なくなった。そんな俺の頬に柔らかいものが触れる。それが、ユイの唇だと気づくのに少し時間がかかった。
「私、ホップが好きなの。ごめんね」
顔を上げると、ユイの瞳は濡れていた。俺は口を動かしたが、もごもごと言葉にならない声が出るだけだった。
「ごめん……ごめんね……」
その後の記憶は俺にはない。ただ、脳内にはユイがずっと謝る声がいつまでも響いていた。