第4章 ホップ編
「ユイ。正々堂々と戦った相手にそんな言い方はしちゃダメなんだぞ」
口を出すべきではないのは分かっていたし、さらにこれ以上ユイから避けられ続けられたくもない。だが、あまりにも辛辣な言い方をするユイに俺はつい口を出してしまった。しかし、ユイはこちらを一瞥もせずに、エレベーターへと向かってしまう。その後ろ姿から俺への拒絶を感じ、胸がズキっと痛む。
「……………ユウリさん」
ビートの声が控え室に響く。俺は何故ビートがその名前を知っているんだろうと驚いてその顔を見た。ビートには1度もその名前を言ってないはず…
「あなたにその名前で呼ばれたく……」
案の定、苛立った様子のユイが振り返った直後、肩に手を回されグイッとビートに引き寄せられた。
「ん?」
一体何をするつもりなのだろうとビートを見つめる。ビートはニヤッと笑った。
「な…!?」
「宣戦布告です」
ちゅっ…乾いたリップ音がし、俺は目を白黒とさせた。