第4章 ホップ編
「……よく分かったわね」
ルリナさんは多忙だというのに、すぐに駆けつけに来てくれた。俺は彼女に任せて、ホテルのベッドに寝かせると買い物へと向かった。その袋の中身を見て、ルリナさんは俺にそう言った。
「昔からこんな時が何回かあったんだ。その時、色々調べたんだぞ。……気づくのが遅れちゃったんだけどな」
「そんなことないわ。貴方がちゃんと調べておいてくれたおかげで、ユウリちゃんは恥ずかしい思いをしなかったんだから。いい幼なじみを持ったわよ」
これがダンデを呼んでいたら、2人でアタフタしていたわね、とルリナさんは笑った。俺はルリナさんがユウリちゃん呼びに首をかしげそうになったが、恐らく電話した時に俺が焦ってそう呼んでしまったのだろう。
「ルリナさん!! ありがとうなんだぞ!! あと……この袋の中身、ルリナさんが買ったってことにして欲しいんだ」
俺の頼みにルリナさんは快く了承してくれた。俺は重ね重ね申し訳ないと思いつつ、ルリナさんにもうひとつ頼み事をした。
「あと…ユイのことなんだけど……今まで通りユイって呼んで欲しいんだ」
すると、ルリナさんはニヤッと笑みを浮かべる。
「2人の特別な呼び名ってことね。いいわ、ユウリちゃんって名前は聞かなかったことにしてあげる」
その代わり今度お話聞かせなさいよ、と言ってくれるルリナさんに俺はお礼を言った。ルリナさんはユイが起きるまで看ていてくれるようで、俺たちはそこでお別れした。彼女なりに気を使ってくれたのだろう。しかし…
「あんたね!! 生理なのに1食だけしか食べてないって……そんなのぶっ倒れるに決まってるでしょ!!!!!!」
ルリナさんの声が隣の俺の部屋まで響き、ユイがごもごもと反論した言葉にも、これまた大きな声で……
「ダイエットなんて成長期の貴方がする必要ないの!!!! 大人の女性になりたいなら、まずは自分の体調管理をしっかりしなさい!!」
としっかりと叱るルリナさん。それから数10分ほどルリナさんにこってり絞られたユイは、次の日何回も頭を下げ俺に謝ったのだった。