第4章 ホップ編
「昔からそうでしょ!! 嫌なこと言われてもすぐ許しちゃうし、嫌なことした相手にも優しくして!! そんなんだから、好き勝手言われるんでしょ!! だから私が………!!!!」
不意にユイが言葉を止める。顔にはしまったと書いてあった。ユイは口を抑え、動揺するように後ろへ数歩よろよろと下がった。
「だから……だから………」
『だから私がホップの代わりにあんな人達を黙らせてきたのに』
彼女の言葉を続けるならこんな感じだろうか。だが、彼女は途中で言うつもりじゃなかったことまで言おうとしてしまった自分に気づいた。なぜなら、ユイは今までかたくなにそのことを俺に隠し続けてきたのだから。ユイは何とか誤魔化そうと言葉を続けようとするが、段々顔が真っ青になっていく。
「違…私…ホップにこんなこと言うつもりじゃ………」
「ユイ!?」
フッと意識を無くし、そのまま地面に崩れ落ちるユイに俺は駆け寄った。ユイは顔を真っ青にしたまま、そのまま力なく俺にもたれかかる。
「……ユイ! しっかりするんだぞ!! ………ユウリッ!!!!!!!!!!」
俺の腕の中で力なく項垂れるユイを、俺は必死で抱き抱えた。どうする…体調が悪いなんて聞いてない!! 熱もないし、どちらかと言えばユイの手は冷たかった。ふと、最近のユイと別行動が多かったことを思い出した。普段よりも感情の起伏が激しく、また食事を摂っているところも見ていない。そこまで気づいたところで、俺はある心当たりを思い浮かべた。
「ロトム!! ルリナさんに連絡するんだぞ!!!!!!」
そして、今日ユイと泊まるホテルへと俺は走った。