第4章 ホップ編
そして、そんな順調だったジムチャレンジも雲行きが怪しいものとなった。マサルがホテルから出てこなくなったり、ビートというジムチャレンジャーに俺がコテンパにされたりと様々なら問題が起こったのだ。まぁ、ビートにコテンパにされたというのは、俺の実力不足だからまだ改善の余地があるとはいえ…何が問題かって………
「………僕が…負けた…?」
その時偶然一緒にいたマサルが、ユイに話したらしいのだ。その時のビートからの暴言も含めて。すると、怒ったユイがビートにバトルを申し込み、ビートをコテンパにしてしまったという。
「し……しかも…あの女…このエリートの僕に……弱い魚ほどよく吠えると……!!」
そう言えば、昔俺らを田舎者とバカにした子供たちをコテンパにしたときもそんなことを言っていたのを思い出した。あの時はよく分からなかったが、今思えばあれは…
「つまり、ユイに雑魚呼ばわりされたんだな!!」
「わざわざ解説しなくてもいいですから!!」
目に涙を浮かべながら鼻をすするビート。…んー、これは思った以上に徹底的にコテンパにされたようだ。
「泣くなって!! ユイはちょっと怒りのスイッチが入ると中々治まらないからなぁ」
「泣いていません!! それよりも、なんで貴方はさも当然の如く僕の隣に馴れ馴れしく座っているんです?」
そして、お得意の毒舌を盛大にお見舞される。貴方はチャンピオンに泥を塗ったのだと、コテンパにされたときと同じ言葉を口にする。俺は腹が立って、ビートのもふもふの頭にチョップをお見舞した。
「いっ!?!?」
「それでお相子なんだぞ!! 俺はまだ怒っているんだからな!! マサルに突っかかったこと!!」
はぁ!?というような顔をするビート。それに…と俺は言葉を続けた。
「友達が泣いているのに、ほっとけるわけないんだぞ!!」
「……は!?!? と、友達!? 僕とあなたが!?!?」
明らかに動揺を見せるビートに、俺は首を傾げた。アニキが1度バトルをすれば、友達だと言っていたのに……ビートは知らないのか。