第4章 ホップ編
「大丈夫か? ユイ」
少し様子が気になった俺は、元気の無い彼女を椅子へと座らせた。
「え…あうん!! 大丈夫!! 私…後片付けしとくから、ホップは修行に……」
ニコッと笑うユイに俺は手を取った。そして、腕の袖をめくる。
「え…え……ホ、ホップ…!?」
ユイの細い腕に、血が滲んだ包帯が雑に巻かれていた。
「やっぱり…怪我してたんだな」
俺は解けかかっている包帯を取り、傷口を見る。先程のポケモンたちの技によるものだろう。そして、傷を消毒し、綺麗な包帯で巻き直した。
「あ……ありがと……」
「当たり前だぞ!! それよりも、怪我を隠すなんて、もし悪化したらどうするんだ!!」
怒った顔をすると、しゅんっと項垂れるユイ。俺はひとつため息を吐き、俯く額にコツンっと自分の額を合わせる。
「ホ…ホホ…ホップ!?!?」
幼い頃、何度もしてきたのに未だに初めてのように慌てるユイ。フワッと彼女の甘い香りが鼻を刺激する。
「もう怪我を隠さないって約束するまではこのままだからな!!」
「す、するっ!! するよ!! するから!!」
言質は取ったので、ユイから体を離す。昔と変わったなと思っても、不意に前のままな所もある。何かあったら呼べとあれほど言ったのに……俺はそこまで頼りないだろうか?
「心配したぞ」
手当した腕の袖を丁寧に戻し、俺は立ち上がった。ごめん…そう呟くユイの頭をそっと撫でた。
「許した。でも、もう無茶はしないで欲しいぞ。ユイは女の子なんだからな」
「………え…えっ!?」
ポンポンっとアニキがしてくれたように頭を撫で、俺は片付けへと戻った。後ろでは何やら、ユイがずるい…!! と叫んでいた。