第4章 ホップ編
ジムチャレンジが始まってしばらくが経ち、2人はめきめきと頭角を現していった。
「ユイ!! 凄いな!! また1匹でジム関門をクリアしたのか!?」
特にマサルの方は、何か気迫めいたものを感じるような戦い方をする。必死で何かを得ようとしているような…焦りを感じられた。俺がその理由を聞いても…
「あの人は……やっぱり俺のことなんて覚えていなかった…だから、早く…ジムチャレンジを終わらせないと…!!」
と言うだけ。詳細を聞いても話してくれないマサルに俺は少し寂しさを感じた。
「ホップ!! 暗い顔してどうしたの?」
ユイは相変わらず俺を見つけると、遠くからでも駆け寄ってくる。ソニアのワンパチのようだ。美容室や服屋にも通っているようで、可愛らしい身なりをしている。この見た目からユイは甘く見られがちだが、バトルになると途端に豹変するから驚きだ。俺はいつも見ているだけだけど、いつか戦って見たいと思う。
「なんでもないんだぞ。それよりユイ、お昼は食べたか?」
「えっ!! た、食べてないよ!!!!」
ユイがぶんぶんと首を振る。なら、一緒に食べようと俺は彼女の手を取った。
「う、うん!! 食べる!!!!!!」
そう言えば、マサルはポケセンで手持ちの整理をしていたことを思い出し、振り返った。
「ユイは何か食べたいものはあるか? マサルが最近あまり食べていないようだから、腹にいいものがいいよな!!」
すると、一瞬苦虫を噛み潰したような顔をするユイ。だが、一瞬にして笑顔へと変わる。
「さ……さぁ!! マサルは1人で食べるのが好きみたいだから……」
「行く」
だが、マサルの即答でユイの考えは杞憂へとなる。やっぱり皆で食べた方が美味しいもんな!!!!
「空気読んで一人で食べたら?」
「お前となんか二人で食べたら、ホップが可哀想だろうが」
何を食べようか…なんて頭の中がそれ一色になる。だから、いつものようにボソボソと二人が後ろで何を言っているかなんて耳には入らなかった。