第4章 ホップ編
「ホップくん。あの子たちをお願いね。どうしてあんなに仲が悪いのかしら」
ジムチャレンジに挑戦する前、おばさんが深いため息を零しながらそう俺に頼んだ。おばさんは2人を仲が悪いというが、俺は彼らをそう思ったことはなかった。
「大丈夫だぞ!! 2人とも目標に向かって頑張ってるだけで、つい焦って言い合いをしちゃうだけなんだからな!!!!」
俺はそうおばさんに言ったが、おばさんの不安そうな表情は拭えないままだ。だから、俺は大きく胸を叩いた。
「俺だけじゃなくて、ジムチャレンジにはアニキも見守ってくれる!! だから、おばさんは安心していいんだぞ!!!!」
そう笑いかけると、おばさんはようやく安心したようだ。
「ありがとうホップくん。貴方が2人の友達でよかったわ」
「当然だぞ!! 俺は2人の幼なじみなんだからな!!」
ニカッと笑う俺に、おばさんは少し躊躇するような素振りを見せる。おばさんは双子に対し、心配事が尽きないようだ。おばさんはだけど…と口を開く。
「ホップくん。あの子を…ユイくんをダンデくんに近づけさせないでちょうだい。いいわね?」
アニキとユイを?俺は理由を聞くが、おばさんは頑なに言おうとしなかった。それと…とおばさんは言葉を続ける。
「……ユイちゃんに…あの子にはくれぐれも注意してちょうだい。一緒のテントで2人にはならないで。どうしてもするなら、ユイくんと一緒に3人で…決して2人にはならないこと……いいわね!!!!!!」
「わ…分かったんだぞ…」
あまりの気迫に俺は押され思わず頷く。すると、おばさんは俺の肩を触った。
「……ごめんなさいね…ホップくんも大変なのに…あの子たちの面倒まで。ホップくん、頑張ってね。応援してるわ」
その少し涙を浮かべる表情を見て、あぁ…この人は双子の母親だと心底思った。双子が大抵大喧嘩したあと、このような表情を浮かべていたのだ。