第2章 ダンデ編
「ダンデさんに何をするつもりだ!!!!!!」
一筋の炎が声とともに視界に入った。荒々しいまでの炎に目を奪われていると、気づけば俺の前にはユイが立っていた。
「アニキ!!!! 大丈夫か!!!!」
振り返ると、そこにはホップが俺の元へと走ってくる姿があった。俺はホップに頷くと、視線を戻した。
「……やぁ、ユイくん。久しいね。ちょうど今、君の話をしていたんだ」
ローズ委員長は普段通りの笑顔を浮かべ、ユイに手を振った。そして、委員長は俺をチラッと見た。そして、こちらへ向かってくるホップには聞こえないような声で囁いた。
「君がダンデくんと不貞を働いていた話についてなんだけど…」
「なっ!?!?」
ユイは明らかに動揺した顔で、委員長を見る。委員長はニヤリと笑った。今度はホップにも聞こえるように、声を張り上げた。
「それで、チャンピオン。先程の返事を聞かせてもらおうかな。明日の試合を中止にするか否か!!!!」
委員長の声で驚きの声を上げるホップと、俺のことを見るユイ。俺は先程の答えを言おうと口を開いた。
「そのお話はお断りしたはずです。何をおっしゃられても私の意思は変わりませんよ」
そして、俺はユイの背を押しながら、ホップの元へと向かう。俺と視線を合わせようとするユイを急かすように手に力を込める。
「……分かりました。では、いいんですね…あの件は…」
「ええ。どうぞご勝手に。ただし」
俺はそこで言葉を切り、顔を歪ませるユイの頭を撫でる。そして、ホップを引き寄せた。
「ガラルの未来には手を出さないでいただきたい。彼らはガラルの光だ。光に影を灯すようなことはしないで欲しい。全ての責任は俺が取る」
「……なるほどね。君がそういう男だと忘れていたよ、チャンピオン」
明日は予定通り試合を始める。そう委員長に伝え、俺たちはその場をあとにしたのだった。