第2章 ダンデ編
ホップと幼なじみの2人は、順調に勝ち進んで行き、とうとうホップは少女と、キバナは少年と戦うことになった。
「すまねぇなダンデ。お前の推薦者…負かすぜ」
キバナのコンディションは最高の様子。俺の肩を軽くこずくとスタジオ内へと姿を消した。
「………あ…」
そして、次にエレベーターから降りてきたのは、キバナの対戦相手であるユイだった。彼は俺の視線を避けるように顔を背かせた。緊張しているのか握った拳は軽く震えていた。
「ユイくん。調子はどうだ?」
俺が彼にそう問うと、彼はハッと顔を上げる。俺が声をかけたことに驚いた様子の彼が少しおかしくて、思わず笑みがこぼれる。
「あ……は、はい。……大丈夫です…」
たどたどしく話す彼に、俺はそうかと頷いた。
「だが、君の対戦相手のキバナは強敵だ。ポケモンを信じ、トレーナーとしての力を最大限に発揮し…そして、チャンピオンである俺を攻略しろ。頂点で待っているぞチャレンジャー」
それだけ言うと、俺はくるっと彼に背を向けた。言いたいことは彼に伝えた。そして、エレベーターに向けて歩き出すと、
「………あ…ダンデさん!!」
と彼に呼び止められる。彼が俺を名前で呼ぶのは、あの時以来だった。俺が振り返ると、彼の瞳と目が合う。
「……お…俺……俺は……!!」
何か言いたそうにする彼の言葉を待つ。そして、意を決したように口が大きく動き……
「っ!?」
それは突如鳴り響いた電話の音にて遮られた。俺はロトムをちらりと見ると、ローズ委員長からの着信だった。
「………すみません。何でもないです。激励の言葉…ありがとうございます」
そして、スタジアム内に彼の姿は消えてしまった。俺はため息をひとつ吐き、電話をとった。